一体型形状記憶合金（SMA）を用いたファサード用アダプティブテキスタイルシェーディングシステム
研究プロジェクト「ADAPTEX」は、形状記憶合金（SMA）を建築の適応型日よけテキスタイルに使用する可能性を調査しています。SMAをアクチュエータとしてテキスタイル構造に組み込むことで、光の透過率や反射などのパラメータを調整しながら、温度に応じて表面透過率が適応します。高い日射量下では、システムが適応して入射する太陽光を遮断し、太陽熱増加を抑制します。日射量が少ない間は、表面が開いたままになり、自然光が入り、景色が見えます。
ADAPTEX i-Meshは、穴の開いたパターンの多軸不織布の2つの同じ層で構成されています。この2つの層は互いに正面を向いているため、日光が透過します。有効にすると、レイヤーの 1 つが上にスライドします。スクリーンの位置が揃わなくなると、表面全体の透過性が低下します。温度が下がると、テキスタイルの自重によって元の位置に戻ります。あるいは、短時間の電気的インパルスでシステムを起動させることもできます。
SMAは製造された金属で、センサーとアクチュエーターの両方として機能します。分子の相変化により、2つの異なる状態になることがあります。あらかじめ設定した温度になると、元の形状に戻ります。細いワイヤーの形をしたSMAは、その重量と直径に比べて非常に強くなります。電動アクチュエータと比較して、必要なスペースとリソースは少なくて済みます。SMAは静かで、腐食がなく、耐久性があり、最大30,000回以上の動作サイクルが可能です。これまで、SMAを建築用途に使用することは非常に限られていました。
ADAPTEX i-Meshは、ファサード用途に適していることがテストされ、実証された耐久性のある高性能テキスタイルで作られています。外側の層はグラスファイバー製で、入射する太陽光を反射してエネルギーへの影響を調節します。内側の層は濃い色の玄武岩繊維でできており、コントラストが高いため内側からの視認性が向上します。開放係数を定義する多軸グリッドのパターンは、さまざまな建物、場所、設計意図の特定の要件に合わせてパラメトリックに適合させることができます。パラメトリックツールを使用すると、照度レベル、グレア保護、シェーディング効果、ファサードサイズ、モジュール位置など、特定のアプリケーション要件に合わせて調整できます。
ADAPTEXは、建築、テキスタイルデザイン、ファサードエンジニアリング、素材研究の分野を超えたプロジェクトチームによって開発されました。このシステムはフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所でテストされ、高性能サンシェーディングに適したG値、透過率、反射率の特性が実証されています。現在、オマーンのマスカットにあるドイツ工科大学で、本格的なファサードモジュールとして屋外でテストされています。ADAPTEXは適応的で持続可能な設計ソリューションを提供します。モーターを使用する同様のシステムと比較して、内部空間の過熱を効率的に防止し、製造、設置、および操作におけるエネルギー消費量を大幅に削減します。アダプティブファサードは周囲温度によって自動的に作動するため、動作に電気は必要ありません。
ADAPTEXは、シカゴで開催された会議で、高層ビルと都市生息地に関する評議会（CTBUH）から、2022年のイノベーション部門の優秀賞として表彰されました。
プロジェクトチーム
ヴァイセンゼー・スクール・オブ・アート・アンド・デザイン・ベルリン、ベルリン DE：クリスティアーネ・ザウアー教授、マキシー・シュナイダー、エバ・フランセン・ヴァルトホール教授
Priedemann Facade Experts、Großbeeren/Berlin DE: Paul-Rouven Denz、Puttakhun Vongsingha、Natchai Suvanapruk、Jens Böke
プロジェクト資金:連邦教育研究省 (BMBF Innovationsnetzwerk smart³ Zwanzig20) — イノベーションパートナーシップ
コラボレーション
研究プロジェクトADAPTEXとADAPTEX KLIMA+（2017-2022）は、ヴァイセンゼー・スクール・オブ・アート・アンド・デザイン、プリーデマン・ファサード・ラボ社、フラウンホーファー工作機械・成形技術研究所、カール・スタールARC GmbH、Verseidag-Indutex GmbH、ITP GmbH、SGS Ingenieurdienstleistleistleisunの共同研究でした。ゲン・イム・バウウェセン社、アイ・メッシュ
